社論・乾坤一擲管理
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1月13日(金)乾坤一擲    青葉区版405号

2017年、平成29年、今年は干支でいうと丁酉。「ひのととり」という。60種類の干支がありそれぞれ意味がある。これが一回りすると、「還暦」であり、赤いちゃんちゃんこを着てお祝いされる。生まれたての「時」にもどる訳だ。そうすると、これから先のことを予想するヒントが60年前の、丁酉、1957年にあるのではないだろうか。昭和32年である。戦後12年経っている。前年の経済白書は「もはや戦後ではない」と豪語したが、神武景気、岩戸景気、などと言って経済的には微妙な時代。米ソの冷戦時代でもあった。ソ連が、世界初の人工衛星をぶち上げた。「スプートニク1・2号」。大阪に「主婦の店ダイエー」が開店し、そごうが有楽町に進出して、「有楽町であいましょう」が大ヒット。酉年というのは革命の年といわれている。東海村に原子力研究所。トヨタがアメリカへ自動車の輸出を始めて、日産がスポーツカーを発売した。長嶋茂雄がデビューし、プロレスの力道山がアメリカの世界王者・ルーテーズと後楽園で対戦した。これでテレビが街にあふれ出した。新五千円札、百円硬貨が発行されている ◆さて、60年の終わり、2016年、世界はどう動いたのだろうか。日本では小池百合子都知事が誕生し、アメリカでは予想を裏切ってトランプが次期大統領に選ばれた。イギリスはEU離脱を決めた。憲法改正を国民に問うて敗れ辞職したイタリアのレンツォ政権。フランスのオランド大統領は出馬を断念。サイバー攻撃を指揮し、アメリカ大統領選挙を狙い撃ちし、トランプの勝利に貢献した、ロシアのプーチン大統領。この方は元KGBのスパイである。したたか。北方四島は返す筈がない。隣の韓国は大荒れ。朴大統領が身辺のスキャンダルで弾劾訴追。職務が停止されている。慰安婦像撤去の取り決めが反古にされそうな事態に。北の金正恩は、この韓国の大騒ぎの陰に追いやられてしまった感じだったが、どっこい、ICBMを持ち出して登場した。トランプの大統領式典の前に、実験をするのだろう ◆さて、丁酉の日本、どうやら政治の世界は小池東京都知事の一挙手一投足にかかっているようだ。暮の、都議会での自民党との応酬、これはお見事でした。都議選に「小池新党」から刺客が放たれる。しばらくは目が離せないようだ。

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2月10日(金)乾坤一擲    青葉区版406号


18年ぶり日本人横綱が誕生した。第七十二代横綱稀勢の里寛である。その明治神宮での横綱推挙式と土俵入りが1月27日に行われた。貴乃花のときは2万人だったそうだが、稀勢の里も大変な人気で、それに継ぐ1万8千人。これまで、横綱は蒙古の4人が名を連ねている。日本人と変わらない容貌と身体つき。憎らしいくらい強い。日本人を寄せ付けない。その壁は厚かった。そこにやっと日本人が横綱に推挙されるのだ。このテレビ中継、日本中が久しぶり沸いた ◆その日からである。アメリカの新大統領トランプが選挙の時約束した「大統領令」に次々にサインするニュースが飛び込んで来て、世界中が大騒ぎとなった。メキシコとの国境に壁を作る。費用はメキシコが払え。「悪者を国に入れないため」中東7カ国からの入国を禁止する。これまでのアメリカ大統領にはない品のなさである。イランのロウハ二大統領は、「アメリカの新大統領トランプは政治の未経験者で、素人。何をやるかわからない」「ベルリンの壁が崩壊したことを忘れている」と非難する声明。イギリスではメイ首相がトランプと会談して帰ると、あのアメリカ大統領は入国させない、というデモが国中で起きている。国連の事務総長、グテーレスもあきれている ◆アメリカの大統領は歴代、共和党、民主党どちらであっても、選挙が終わるとある風格がただよっていた。ところがこの45代トランプ大統領にはない。トランプタワーの主そのもので、最上階の自室から国を見下ろしている。アメリカは世界中から移民してきた人たちが作りあげた国なのだ。決して白人たちだけのものではない ◆稀勢の里の日本人横綱の推挙式とトランプ「大統領令」が同じ日だったので、横綱の品格というもの、アメリカの大統領と重ね合わせていた。蒙古の初めての横綱・朝青龍。強かったがやりたい放題。先輩の舞の海に、「おい、秀平!」と呼び捨て。怪我で休場の場所のあと国でサッカー大会に出場。土俵を追われた。同じように、白鵬も横綱の品格はみられない。勝って懸賞金をつかみ、「どうだ!」 ◆稀勢の里の横綱誕生が日本中から待ち望まれたのは、名横綱双葉山の相撲スタイルの復活である。アメリカ大統領は世界の横綱なのではないか。このままでいいのかアメリカ、である。

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3月10日(金)乾坤一擲    青葉区版407号

 昨日、BS・TBSで映画「タワーリングインフェルノ」を放映していた。つい最近地上波放送でもやっていたのに、である。これはもう、あのトランプタワーを意識してるとしか思えない。視聴率は上がる、コマーシャルは集まる、間違いなし、と民放は、この時期、踏み切ったのだ。この映画、1974年、昭和49年のアメリカ映画である。地上550メートル、138階の超高層ビルの落成式で起こる火災事故に織り成す人間ドラマ。消防士のスチーヴ・マックウイーンが好演。世界的大ヒットになった。原題は「そびえ立つ地獄」である。ビルのオーナーの娘婿がビル建設の予算を減らすために配線の規格を細くした。そための漏電事故。トランプタワーのオーナーの家族構成にそれとなく似ている。映画でのビルのオーナー、ダンカン(ウイリアム・ホールデン)とトランプを重ね合わせると、この映画はさらに興味深い ◆さてこちらのトランプタワーである。トランプ大統領のマスメディアとの闘いは続いている。自分に不利な情報は「偽ニュース」だと決め付ける。twitterにも投稿。情報は自分に有利なものしか受け付けない。逆に、自分に有利な偽情報は、「ひとつの事実」だと軽く受け流す。決して否定はしない。すると何が何だかわからなくなり、民衆はまわりの情報に乗ってしまう。これは「影の副大統領」と呼ばれる、スティーヴ・バノンの戦略である。それに「トランプの顧問」と称する女性、ケリーアン・コンウエイが暗躍する。この手法、大統領選挙中に使われていた。相手の不利な情報をネット上に流す。逆にありもしないトランプの良い実績を作り上げてさりげなく話題にする。これを、「影の副大統領」バノンは「闇とはいいものだ」と嘯く。今回のアメリカ大統領選挙は、このネット社会を最大限利用したトランプ陣営の勝利だったのだ ◆ところで北朝鮮の、今回の金正男殺害事件。あれだけ事件の詳細が監視カメラで写し出されていても、「偽ニュース」だとマレーシアの北朝鮮大使・カン・チョルは報道陣の前で主張。こちらはとうとうマレーシアから、「外交上好ましくない人物」として、国外追放になった。殺害された人物は「金正男」ではないという「ひとつの事実」は誰も信じない。ただこの「偽ニュース」と言い続けて行くしかない。この国の「闇」はさらに深まって行くのだろうか。

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4月14日(金)乾坤一擲    青葉区版408号

ついこの前の4月8日、テレビで巨人・阪神戦を観ていたら始球式が始まった。ユニフォーム姿の、背の高いタレント風の女性、マウンド度胸もいい、大きく振りかぶって投げた。凄い玉で、103キロの球速だった。まさか?少し前から投げたんだろう、と投げた位置をみたら、ちゃんと正式のピッチャープレートを踏んでいた。稲村亜美さん、「始球式アイドル」として、今売り出し中のタレントさんなのだそうだ。投げるフォームが本格的なのだ。左手のグラブの位置、肘の使い方、173センチの長身から、しなるように投げ下ろす。どこかのコマーシャルで、バットスイングを披露した。「神スイング」と命名され、評判を呼んだ。投げるのが得意だ、と言ったら、プロ野球の始球式でデビューとなった。この巨人・阪神戦は7回目だった。「プロ野球始球式12球団制覇」、が目標なのだそうだ。日本の野球もここまで来たのか。プロ野球の球場がひとりの女性の一球に度肝を抜かれてしまった。テレビ中継を見ていても、応援席の女性の熱気、野球に「ヤマトナデシコ」をこうまで夢中にさせるのは何か ◆ついこの前、「第4回ワールドクラッシックベースボール」が開催され、アメリカが優勝。やっと本場の面目を保った。今年は参加する国にちょっとした異変が見られた。これまで、世界でベースボール、野球が盛んな国はというと、アメリカと日本。ヨーロッパの国々はあまり関心を示さなかった。ラグビーとサッカーが中心でベースボールへの評価は低い。アメリカでは、6月19日を「ベースボールの日」としている。1846年のその日、南北戦争の15年前だった。イギリスの、ラウンダダーズという、バットとボールを使ってやるスポーツが野球の原型だといわれている。アメリカの国の歴史のスタート、南北戦争で北部から南部にベースボールが広まり、国が一つになった。わずか170年前のことだった ◆WBC、今回は参加国は16ヶ国に拡がる。常勝キューバが力を落とし、お隣の、前回準優勝の韓国も元気がなかった。大リーガーの旧オランダ領出身者がオランダで出場。ユダヤ教に改宗した大リーガーたちが、イスラエルチームを結成 ◆まだ歴史の浅いベースボールも、世界のあちこちでうごめいているようだ。戦後、日本の復興に大きく貢献した野球というスポーツ。発祥はアメリカだが日本が一番よく知ってる。このいい広まりを後押ししなければならない。

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5月12日(金)乾坤一擲    青葉区版409号

最近、羽生善治三冠を破った中学生がいると聞いて驚いた。将棋の世界に詳しい訳ではないが、この少年、最年少プロ棋士だというのだ。七人の先輩プロ棋士に挑戦していく非公式戦で、6勝1敗。破った中の一人が羽生善治名人である。藤井聡太四段、十四歳。対局したときの写真は学生服なので、初々しい。横顔がスケートの羽生結弦選手にちらりと似ている。「新人とは思えない落ち着き。すごい人が現われたなあ」と棋界トップの羽生善治三冠も脱帽。大騒ぎとなった ◆将棋と言えば村田英雄の「吹けば飛ぶよな将棋の駒に、賭けた命を笑わば笑え」、演歌「王将」の浪花の坂田三吉。昭和の前期に独学で将棋を覚え、八方破れの独特の戦法を編み出した。演劇・映画、さらに流行歌でも大人気。ただ、このイメージなので将棋は少年たちにはあまり流行らない。戦後の混乱期、「家でごろごろするな!外で遊べ!」の風潮で内向的なゲームとして遊びの人気ランクも低かった。将棋に注目したのはだいぶ経って、升田幸三という人物が出現してからだった。この方もムードは坂田三吉。髪は総髪、髭茫々。決して教育的風貌ではない。同門の後輩、大山康晴名人との対局は話題になった。破天荒と端正な両極端の棋士同士、因縁の戦い、これは当時社会的関心事だった。升田幸三に勝たせたいが、大山康晴は強い。判官びいき、升田の人気はグングン上がっていく。羽生善治三冠も差したい棋士はだれかと聞くと、「升田幸三」と答えるほどである ◆升田幸三に惹かれるのは、その言動である。「たどり来て未だ山麓」が座右名。「棋士なんて無くてもいい商売なんだ。だからプロはファンにとって面白い将棋を指す義務がある」という。「時代が変わっても人間を磨くのは目的に挑戦する訓練だということは変わらない。今の人も苦労はしてるが、それは物欲を満たす苦労で、自分独特の、独創の苦労ではない」 ◆電王戦、コンピューターには、チェスは勝てないが、将棋では人様がやや有利。チェスは奪った駒を捨ててしまうが、将棋はそれを生かして味方にして戦う。そこを器械は読めない。戦後、GHQは、戦争ゲームの将棋、これが日本の戦争好きの一因だ、と廃止を迫った。「将棋は捕えた駒を殺さない。上手く使うものだ」と升田は応戦。GHQはそのあと、戦犯たちを開放した。将棋が日本の戦後の進路を救ったと言っていい。

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